『むらさきのスカートの女』という本のあらすじを何処かで見かけて、面白そうだったので読んでみた。
作者は今村夏子さん。芥川賞受賞作品である。
ページ数はハードカバーで160ページほど。
30〜40分でサクッと読めるボリューム。言葉づかいも平易でとても読みやすい。
…だが、分からない!
文章は読みやすいし、情景だって公園やアパート、商店街と身近なものばかりで想像し易い物語なのだ。
なのによく分からない。そしてうっすら怖い、ひたすら不安になる。
物語の舞台は、『むらさきのスカートの女』という都市伝説じみた名前で呼ばれる女がいる小さな町だ。
むらさきのスカートの女は、その名の通りむらさきのスカートで、いつも同じ日にクリームパンを買い、同じ公園のベンチでパンを食べる。
むらさきのスカートの近所の有名人で、むらさきのスカートの…と言えば皆がああ、と頷くらしい。
主人公である『黄色いカーディガンの女』はむらさきのスカートの女とは正反対に影が薄く、友達もおらず、どこか自分の知り合いに似たむらさきのスカートの女と友達になりたいと思っている。
そして彼女と友達になるためにストーカーじみた行為を繰り返し、ついには主人公の望みどおり、二人は同じ職場で働く事になるのだが…
というあらすじ。
結局、この物語で一番怖いのはむらさきのスカートの女ではなく、彼女を観察していた『黄色いカーディガンの女』だった…という話なのでしょうか?
色々分からなくて、でもこわーーい!
不思議な読後感の本でした。