おのにち

おのにちはいつかみたにっち

お客様貴様、三語以上話せ

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さて、今日は前回の続き。

前回は、余計なことを客に告げてしまう、接客側の話だった。
今回は必要なことすらしゃべってくれない、無言…ンー!なお客様の話をしたいと思う。

 

yutoma233.hatenablog.com

 

マイマイガ・ジジイ来襲

 

先日、窓口でどかっと椅子に腰かけて、マイマイガ!と怒鳴るジジイを見た。
何が何なのか、さっぱりわからない。

お客様、何のご用でしたか?と丁重に聞いてもマイマイガ、を繰り返すばかり。
そのうちマ・イ・マ・イ・ガ!とマイマイガを区切りはじめた。

マイマイガ=去年の夏大量発生した蛾。

ウチでは虫の駆除はやっていないし、外は雪、虫眠る季節だ。
どうしたらいいのだ、殺虫剤でこのジジイを駆逐してほしい、というご依頼なのか?

カウンターの下でこっそり、「フマキラー持ってきて」と書いて隣の女子に渡したがゲフッ、と変な声を出した彼女にローキックされた。どうやら違うらしい。

すいません、ちょっとよくわからないんですが…何の手続きでしたか?と聞くと「だから!年末調整にマイマイガ必要だから出してくれ、って言ってるんだ!早くしろ!」とふんぞり返る。

私の脳内の検索機能がピコーン、と音を立てて『もしかして=マイナンバー』と教えてくれた。
マイナンバーですか?と聞くと、それそれ、マイマイガー、とジジイは答えた。
一切噛み合っていないが、マイマイガを繰り返すジジイをそれは役所で聞いてくださいねーと送り出した。

役所でもう一度もう一回マイマイガから始めてもらうのも面白いと思ったが、虫の駆除課に回されたりして「違う!」とまた戻ってくると面倒なので、メモに『マイナンバー』と書いてやった。
ジジイもようやく理解して、そうか正式にはマイナンガーか、と帰っていった。
まだちょっと違うが、それならGoogle先生も『もしかして=マイナンバー』と教えてくれるだろう。

 

 

恐怖のジジイババアランド

 

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こういうジジイに対して、はい老害老害、と言う扱いをするのは簡単である。
だが40を過ぎた私には言えぬ。つい先日、結婚年数を+10してしまった私に、他人の覚え間違いをとやかく言う権利などない。

2025年には、団塊世代が後期高齢者に移行する。

ワクワク☆ジジイババアランドはすぐそこだ。
窓口担当が60代、客が80代という地獄のうろ覚え大会が日常的に開催される。

マイナンバー=マイマイガ、なんて序の口。
あれこれそれ…で謎の処理をしなくてはいけない、恐怖の明日はきっと来る。

 

私たちは日常的に、言い間違え聞き間違え、覚え間違う生き物である。

自分の覚えている単語が絶対に正確だとは限らない。
16号が18号になり、クリリンのことかーと覚え間違う(前回記事参照)世界で私たちは生きている。

では、マイナンバーをマイマイガと覚え間違ったまま、どうやって意思の疎通を図るのか。どうやって必要な手続きを終えたらいいのか。

私が覚え間違いの国のお客様に提案したいこと。
それは『三語以上話せ!』である。


マイマイガ!だけではどこに行っても何も伝わらない。
そんなの、エスパーじゃなきゃわからない。

ところが「確定申告用に」「マイマイガを」「ください」と言えばあら不思議、なんとなく通じる(ウチでは取り扱ってないけど)。

話すこと、説明することが苦手…と言う人が一定数いるのは知っている。
私の父も普段はメシ、フロ、ネル位しか話さない、単語の国の住人だ。

話すの面倒、言葉が正しければ単語だっていいじゃん、とっとと処理してくれ…と思うかもしれない。
でも、単語だけだと損をしてしまうことも世の中にはある。


私の友人は専門学校の事務員をしている。
彼女の学校の在校証明書は、1通でそこそこのお値段がするらしい。
でも在校証明が絶対に必要な手続きは少なくて、たいていは学生証のコピーで兼任できるらしい。

だから彼女は「年金の免除申請用に在学証明書が欲しいんですが…」と言われたら学生証のコピーでも大丈夫ですよ、と声をかける。

ただ、あらかじめ書いてきた申請書だけを黙って、慌ただしく投げ出すような生徒には「何にお使いになりますか?」とは聞き難くて、ランチ代位の証明書料金を後ろめたい思いで受け取っているのだ、と言う。

黙って渡す側にも、いろんな言い分があるんだと思う。
恥ずかしかったり、苦手だったり。

でもサービスを提供する側から見れば、そういったお客様は「不機嫌、もしくは急いでいる」ように見えてしまう。
こちらとしても早く提供しなければ、と一声かける時間を節約してしまう。

在学証明書をお願いします、と言ってくれるだけでも「何百円かかります、学生証のコピーで兼任できる場合も多いですがよろしいですか?」と声かけしやすくなるのに…と彼女は言っていた。


どんな相手にも、同じサービスを提供するのが接客業の基本なのかもしれない。
それでもやはり、人間同士の話。

急いで見える人にはこちらも急ぐし、分からないことがたくさんありそうな人にはゆっくり丁寧に説明する。

お金を払っているから、とレストランで尊大な振る舞いをする人もいるが、そういう人は心のこもったサービスは受けられないだろうな、と思う。


世の中にはいろんなお客様がいて、なかには終戦の年に私は生まれた…から始めてくださる客様もいる。そこから語らなくていい。今朝飲んだ牛乳が古かった話も別にいい。

トイレ?そこです!順番はいいから、どうぞ早くトイレにお客様!

…取り乱してしまった。
一番大切な事は、自分が何をしに来たのか、できれば言葉で伝えて欲しいと言うこと。

マイマイガが欲しいです、だけでもいい。
確定申告に使います、と用途も伝えてくれるとさらに嬉しい。


当店にはカメムシは(そんなに)いないので、どうぞ安心して口を開いて下さいお客様…と言う気持ちで今日もお待ちしております。

 


おまけの小話:近くの私立病院では受付に案内ロボットを導入。
お年寄りが多い場所なのに大丈夫なのかな…と思っていたら、普段は不遜な態度のご老人共もロボット相手だとはっきり・聞き取りやすく・丁寧に話す、とのこと…!
普段暴言の相手をする受付女性たちはみんなショックだと言っていた。

人はロボットが相手だと優しくなる傾向があるんだってさ…。
もう受付はみんなロボットで!もしくは人はロボットのガワを被ろうぜ!
人類総ペッパー化時代はすぐそこ(錯乱)。

 

お客様貴様!の元ネタはこちら。
こちらも超高齢化社会の訪れを予見させてくれて、会いたくて震える案件。 

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