おのにち

おのにちはいつかみたにっち

読書

濃いファンタジーあります!-乾石智子『炎のタペストリー』

乾石(いぬいし)智子さんの『炎のタペストリー』を読み終えた。『夜の写本師』というシリーズでデビューして以来、ずっとハイ・ファンタジーを書き続けている作家さんだ。『炎のタペストリー』は一巻完結の物語なので、彼女の作品を初めて読む方にはちょう…

『女の子のことばかり考えていたら、1年が経っていた』感想

東山彰良さんの『女の子のことばかり考えていたら、1年が経っていた。』という本を読んだ。タイトル長い、しかし中身は軽妙。表紙も爽やか。 東山彰良さんの作品はまだ『ブラックライダー』と『罪の終わり』しか読んでいないので(どちらも終末世界を舞台に…

フリーゲーム『セブンスコート』が面白い!ファンレターを送りたくなる物語

ゆうべふらふらとネットサーフィンしていたら、とれいCさんがかなり昔に紹介していたフリーゲーム『セブンスコート』に引っかかってしまった。 もう私、このゲーム評価しまくりよ! なんて熱い言葉に惹かれてついつい深夜からプレイ開始。『ノベルスフィア』…

藤野可織『おはなしして子ちゃん』と私の読まず嫌い

藤野可織さんの『おはなしして子ちゃん』を読んだ。2013年の本。ずっと図書館の書架にあって、かわったタイトルだから覚えていた。でも実は、手に取ってみたことは無かった。 なんていうか、読まず嫌いをしていたのだ。 藤野可織、という著者の名前が可憐で…

近藤史恵『インフルエンス』感想-私たちの絆の話

大阪郊外の巨大団地で育った小学生の友梨(ゆり)はある時、かつての親友・里子(さとこ)が無邪気に語っていた言葉の意味に気付き、衝撃を受ける。胸に重いものを抱えたまま中学生になった友梨。憧れの存在だった真帆(まほ)と友達になれて喜んだのも束の…

川瀬七緒『女學生奇譚』-思わぬ所に着地する物語

川瀬七緒さんの『女學生奇譚』を読み終えた。いやぁ、面白い!終盤はイッキ読みだった。 オチは多少マンガチックではあるものの、この物語をこう終わらせたか、というアイデアだけでもゴハンが食べられる。 とにかく出だしからは想像もつかないラスト、着地…

北村薫『ヴェネツィア便り』感想-時を越えて届く物語

北村薫さんの『ヴェネツィア便り』を読み終えた。 タイトルから旅エッセイだと思い込んでいたので、読んでみて少し驚いた。 新刊の中身は短編小説集であったのだ。 それも少し仄暗い、不穏な気配のする物語が多かった。 心中をしよう、から始まる双子の兄弟…

読書という病

時折、本に取り憑かれてるんじゃないかと思うことがある。 お風呂上がりに下着を着て、髪を拭きながら、パジャマを着ると汗をかきそうだから少しだけ本を読もう…なんて傍にある一冊を開く。 気がつくと下着姿のまま、濡れ髪で本を一冊読み終えている。変な姿…

今村昌弘『屍人荘の殺人』感想-閉ざされた屍の山荘!?

さて、人里離れた山荘は好きですか?辺鄙な場所にあるペンションは?断崖絶壁に建つ豪奢な館は?それから大雨洪水大雪土砂崩れ、というシチュエーションは?孤立状態、という言葉は? 全部大好き!大好物!という貴方にオススメしたい作品が、今村昌弘『屍人…

辻仁成『エッグマン』感想-タマゴと恋の物語

寒い日にちょうどいい本を見つけてしまった。 辻仁成さんの『エッグマン』。卵と大人の男女の相当スローな恋心を描いた物語である。 一時間ほどで読めるボリューム、物語に挟み込まれる卵料理の数々が良い味を出していると思う。 近藤史恵さんの『タルト・タ…

【SMAPと、とあるファンの物語-あの頃の未来に私たちは立ってはいないけど】感想

『SMAPと、とあるファンの物語—あの頃の未来に私たちは立ってはいないけど』という長いタイトルの本を読みました。著者は乗田綾子さん。 SMAPファンが書いた、SMAPと『私』の物語。 そう聞いて、どんな内容を想像するでしょう? 熱烈なファンが苦労してチ…

あなたの声が聞きたくて-仁木英之『千夜と一夜の物語』感想

仁木英之さんの「千夜と一夜の物語」(ちよとひとよのものがたり)を読んだ。これはちょっと奇妙な物語だ。 冒頭は物語のヒロイン千夜の、新しい職場の歓迎会から始まる。大手化粧品メーカーの研究員という、中途採用としては恵まれたスタートを切る千夜。し…

きっといつかあなたに会える-辻村深月『かがみの孤城』感想

辻村深月さんの「かがみの孤城」を読んだ。ポロポロポロポロ、涙が止まらなくなる。悲しいだけじゃなく清々しい、暖かで柔らかな涙。 あなたは一人じゃない。 そんなメッセージがずっと伝わってきてたまらなかった。いじめられた経験がある人、現在進行形で…

『世界一の生産性バカが一年間、命がけで試してわかった25のこと』が面白い3つの理由

『世界一の生産性バカが一年間、命がけで試してわかった25のこと』という本を読んだ。職場の同僚から、これ面白かったよ、オススメ!と言われて借りたのだが、実は正直渋々…と言った感じだった。 だって、タイトルから漂う、意識高い系ビジネスマンのかほ…

限りなく現実に近いディストピア-中村文則『R帝国』感想

中村文則さんの「R帝国」を読み終えた。 近未来の架空の島国・R帝国を舞台にしたディストピア小説である。 あまりにも暗く、救いのないストーリー。でも現実に限りなく近いところが面白く、色々考えずにはいられなくなる一冊だった。 物語は「朝、目が覚め…

歌野晶午「ディレクターズ・カット」感想-作り物の事件、作り物の死

歌野晶午さんの「ディレクターズ・カット」を読み終わった。相変わらずどんでん返しが冴えていて、面白い。 冒頭は著者お得意の口が悪く乱暴で、サイコパスじみた若者たちの無軌道なお遊びから。 コインランドリーで水着姿になり動画配信、洗濯物を取りに来…

『BLAME! THE ANTHOLOGY 』感想-豪華すぎる階層世界の物語

「BLAME! THE ANTHOLOGY」を読み終わった。 小川一水、野崎まど、飛浩隆と実力派揃いの豪華アンソロジー小説。 アンソロジーのテーマとなる「BLAME!」とは、月刊アフタヌーンにて1997年から2003年にかけて連載されていた弐瓶勉の人気SF漫画である。 遠い未来…

拡散する幽霊の謎?-似鳥鶏『100億人のヨリコさん』

面白い本を読みました。 貧乏な大学生が一人、リアカーを引きながら構内の寮に引っ越していく様子から物語は始まります。 訳ありの彼がこれから暮らすのは敷地の最奥にあると言われる、富穰寮。 誰も見たことがない、地図にも載っていない。都市伝説のような…

三津田信三『わざと忌み家を建てて棲む』-ほんとの恐怖はすぐそばに

三津田信三さんの『わざと忌み家を建てて棲む』を読みました。 わざと忌み家を建てて棲む (中公文庫) 作者: 三津田信三 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2017/08/25 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 三津田信三さんと言えば「厭魅の如…

夏休みに!おすすめ地底探検SF6選

夏休みです!夏休みなので、県民として福島が誇る鍾乳洞、あぶくま洞にて涼んできました!暗いぞ狭いぞ綺麗だぞ! 入場チケット1200円(ネット割引あり!)にプラスして200円払えば、ものすごく狭い所を登ったりくぐったりする探検コースにチャレンジ…

プリンセス・ハーレクインにハマる!kindle読み放題で読めるオススメ10選

kindle読み放題で読める、プリンセス物のハーレクインラノベにハマってしまい、二日でイッキに40冊読んでしまいました。サクサク読める300ページ程度の作品中心とはいえ、kindle読み放題の元を取りすぎな自分が怖い…! 少女マンガが読みたい日、とかホラ…

朝井リョウ「肛門記」から始まる、とある女性ブロガーへの追憶。

朝井リョウさんのエッセイ集「風と共にゆとりぬ」を読みました。 明るくイマドキな直木賞作家…なハズなのに、エッセイは自虐的な目線に満ち溢れていて面白い。 風と共にゆとりぬ 作者: 朝井リョウ 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2017/06/30 メディア: …

江波光則「屈折する星屑」と私たちの生き方

今日は江波光則さんの小説「屈折する星屑」の感想。宇宙の辺境にある、小さなスペースコロニーで暮らす青年の青春と、コロニーの終わりの物語。物語としては終末後の地球を描いた「我もまたアルカディアにあり」の方が好きかも。 yutoma233.hatenablog.com …

『毎朝服に悩まない』で悩み知らず?オススメファッション本

こんにちは、みどりの小野です。 ファッション誌って、読んでますか?私は最近買ってません…。一応スマホにはインスタとWEARのアプリが入ってますが、入れて安心してるだけで、見やしねぇ。最近トレンドに触れたのは、職場で読んだ「日経トレンディ」と「お…

終末SFが好き!『我もまたアルカディアにあり』がくれた答え

「我もまたアルカディアにあり」という江波光則さんの終末SF小説が面白かったので、最近過去作品を読み漁っている。まだまだ読み途中。江波光則さんて、ラノベ出身だったのね。 前回の感想はこちら。 yutoma233.hatenablog.com 最初に読んだ「我もまたアルカ…

疾走する少女の物語‐「マルドゥック・スクランブル」

先週末、Twitterのタイムラインを眺めていたら「マルドゥック・スクランブル」が積んである、みたいな呟きがあって、うおおおおお!よろしければぜひ読んでくだせぇ!感想聞かせてくだせぇ!とかなり暑苦しく思ってしまった。 直接話しかければいいのだが仕…

恩田陸「終りなき夜に生れつく」を読んで「夜の底」に戻る。

今日はタイトルどおりの内容。 恩田陸さんの短編集「終りなき夜に生れつく」を読んで、とても面白かったのだけれどもう一回上下巻の長編「夜の底は柔らかな幻」を読み返さねば!という気分に。週末は恩田陸ウィークになりそうですよ…というお話。 「終りなき…

神様は希望の味?-恒川光太郎「無貌の神」

恒川光太郎さんの「無貌の神」を読みました。 6編の物語が詰まった、短編集。帯には大人のための暗黒童話、というキャッチコピーが。 童話というより、神話や伝承を思い出す、不思議な味わいの短編集でした。 表題作「無貌の神」はタイトル通り、顔のない神…

羽田圭介「成功者K」-私の視点はどこにある?

羽田圭介さんの「成功者K」読了。妙な緊迫感があって面白かった。一気読み。 芥川賞を取って、TVに引っ張りだこになって、女性にも不自由しなくなった成功者Kの物語。それは著者の通ってきた道筋によく似ているのだけれど、でも…。 どこまでが本当でどこまで…

さようならマイルズ・ネイスミス・ヴォルコシガン

ロイス・マクマスター・ビジョルドの小説「ヴォルコシガン・サガ」がついに完結した。最終巻『マイルズの旅路』は金曜日(つまり今日)に届くので、まだ読んでいないのだが、ついに…というワクワクと悲しみで、読む前から泣きそうになっている。どんな終わり…